西岩部屋おかみさんブログ

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若新、20歳と勝ち越し、Wでおめでとう

令和4年九州場所も無事に終わりました。
今場所も、支え、応援してくださいました皆様に、厚く御礼申し上げます。

本日11月29日
福岡より皆が東京へ帰ってまいります。
布団業者様がまた綺麗になったお布団を運んでくださったり、お相撲さんたちの帰京に合わせ、各方面より柿やりんごといった季節の果物が届いたりと、朝から慌ただしく、また日常が戻ってまいります張り合いを見せております。

東京は雲に覆われすっきりしないお天気ですが、このまま雨にならないうちに皆を迎えたいものです。お相撲さんたちは、只今福岡を発ち、飛行機の中でうとうとしている頃でしょう。



先日、親方から九州場所中の写真が送られてまいりました。
2022年11月16日
若新が二十歳の誕生日を迎えました。
宿舎での誕生日会の様子です。



若新も皆んなも良い笑顔です。
西岩部屋は、今年も福岡県糟屋郡志免町の宿舎でお世話になりました。




15歳で入門しました若新。
最初の印象は、なんて目がキラキラした子なんだ、ということでした。
小さな子どものように純真無垢です。
その若新が20歳。
このままこの目を守っていかねばと思います。

部屋の立ち上げからの力士ですので、あの頃は先ずは相撲部屋として形になるよう土台をつくるため、親方は力士たちと一緒にちゃんこを作ったり、私は一緒に洗い物をしたりと、全員が大部屋やちゃんこ場で共に過ごす時間がとても長かったように思います。
特に、若新とは外に出掛けることも度々あり、ソラマチに一緒にお財布を買いに行ったり、眼科に行った帰りに2人でパフェを食べて帰ったり、と思い出がたくさんあります。
若新も、まだ15歳でしたので今ほど照れもなく、いろんな話を聞かせてくれました。

お母様と仲が良いこと。
相撲道場の先生としてお世話になった元力士の千葉先生のことを尊敬していて、こんなに熱く相撲を楽しく教えてくれる人がいるんだ、、、と感動し、千葉先生のお陰で相撲が好きになったこと。
その道場にはいつもお父様が連れて行ってくれていたこと。
友達は多くはないけど、信用できる良い友達がちゃんといること。

若新は、本当に不思議な子で、親方は入門一年目から「大化けするんじゃないかと期待させてくれる何かをもっている」とよく申しておりました。
私も若新の「凄さ」は唯一無二であることを感じております。

5年も相撲部屋にいますと、親方から注意されること、厳しく指導されることも多々あります。
そんな時に、必ずしょんぼりするのが若新です。
西岩部屋は15歳で入門する子が多く、成長段階において、いろんなことがあります。
大人の感覚ではあり得ないことも、子どもたちの世界では起こり得てしまい、親方と大笑いしたり頭を悩ます日々です。
親方が、一つ一つ物事の在り方、師弟関係、兄弟子と弟弟子の縦の関係、大人に近づくにつれ社会の常識、相撲のしきたりも話していますが、教える前に事が起これば、それは「教える」が「注意」に変わってしまいます。そこが非常に難しいのですが、叱りたくないのに、皆んなを集めて生活の仕方を注意し、説明し、必要であれば規則を増やし、、、となります。
そのような時でも、

"怒られた。なんか嫌だな。"

という態度を全くとらないのが若新の良いところです。

"そうか。知らなかった。わかりました。
すみませんでした。"

という顔になり、大部屋でも愚痴ることなく一人でじっと考え、また次の日はいつも通り稽古場で汗を流し、その後は皆んなで笑って過ごし、親方や私とも距離を取らず普段通りでいられるところが、自然で「凄い」と思うところです。

文章に書きますと当たり前のことなのですが、実際の若い男の子たちの集団生活ではこれが意外に難しく、注意を受けた恥ずかしさなどからしばらく素直に前を向けない子もいます。
若新は、元々人を馬鹿にしたり人の悪口を言ったり、恨んだり。そのような攻撃的な面が全くありません。
お母様が、相撲においても相手に勝つという気持ちが持てるかが心配なほど、と仰るほどです。


素直でカッとならない。
一つのことを長く続けられる秘訣なのだと思います。
人の気持ちを傷つけないために自分はどうするかも、常に頭でよく考えている子です。


初めて会った時の印象より、どんどん認められていくのが若新の魅力で、何度か会って話して中身を知ってからの方が、後援会の皆様からも応援していただいています。

控えめに頑張ってきた分、若新の20代が実りあるものになりますよう、祈っています。
根が優しくしっかりしていますので、これからどんどん良い兄弟子となるでしょう。
勝ち越しおめでとうございます。
これからも頑張っていきましょう!