西岩部屋は10代の力士5人の小さな相撲部屋です。
今まで包丁も握ったことのない子がほとんどで、親方は毎日ちゃんこ場に入り、野菜の洗い方から教えています。
自分にできることをとにかく一生懸命真面目にしてくれます。
間違うこともありますが、先輩から正されると「はい!!」と大きな声で相手の目を見て返事をしています。
大丈夫です。
間違って正してもらって覚えます。
あなたが当たり前にいろんなことができるようになった時、教えてくれていた先輩はその成長ぶりをとても喜ぶことでしょう。その日は必ず来ます。
今のまま素直に前向きに。焦らずに。
この日は親方と2人で買い出しに行ってくれました。
重い荷物をたくさん持ってくれてありがとう。
ちゃんこ場で、誰かがお皿やお鍋を重ねて持ち、食器棚にしまおうとしていると、無言でサッと上から順に取り、棚にしまってくれていました。
ちゃんこをよそう時も、お椀を鍋の淵まで持っていくとはねないよと教えてあげていたり、気が付いたことを気が付いた時に周りの皆んなの為に行動に移してくれています。
ちゃんこ当番の日、親方が見守る中、茹でたうどんをザルにあけてくれていました。
重いですし湯気も立って熱いですが、はねて火傷しないようにゆっくり丁寧にできています。
怪我しないように安全に。ちゃんこ場で一番大事なことができています。
若中谷(福岡県八女市 18)
今まではお皿を出したり洗い物をしたり、補助的なことをしてもらっていましたが、この日親方の指示のもと、始めて調理に参加しました。
ポテトサラダ作りです。一歩も二歩も前進です。
大きな手で捏ね過ぎず程よく混ぜてくれました。
盛り付けも上手です。
前に「大根おろしを出し巻き玉子の横に盛り付けてください」とお願いしたことがあるのですが、そのときもとても綺麗に盛り付けてくれました。
「鶏肉何グラム...」などとメモを取る文字も綺麗ですし、親方も褒めていました。
若野口(埼玉県深谷市 17)
親方が何を教えても器用に作ります。本当に習得が早いです。
フライパンも振れますし、火加減の調整も絶妙です。
親方ももう若野口には難しいこともどんどん教えています。
何でもできますが、一人でやってしまわず、後輩の子たちにも教えながら動いてくれています。教え上手です。
命令するのではなく、なぜ今こうしないといけないかもちゃんと分かりやすい言葉で伝えてくれています。
大阪宿舎のときから、ちゃんこ番に苦手意識を持っていたように見受けられました。自身でも「僕はちゃんこ場のお荷物なので」と自虐的なことを冗談まじりに言ったりしていました。
今、若佐竹はちゃんこ番一班の班長です。
やらざるを得ない状況に置かれました。
日々親方から手ほどきを受け、鍛錬の成果が出ました。
葱も良い音を立て、綺麗に切れるようになりました。
この日は玉子焼き作りです。
お世辞なんかではなくとても美味しかったです。
関西の料理人の方の言葉に
「花に水、人に愛、料理は心」
というものがございます。その通りだなと思いました。
練習して一つ一つできるようになって、楽しみながら作っている声が聞こえてくると、こちらも笑顔になります。
これからも皆んなで美味しいちゃんこを作って、いっぱい食べて、いっぱい稽古しましょう。
それにしましても、親方が撮影致しました稽古場での写真を見ますと、皆んな大きくなりました。
皆様からの差し入れのお陰でございます。
感謝しかございません。ありがとうございます。