西岩部屋おかみさんブログ

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「耳をすませば」を鑑賞しました

遡りますこと、昨年の9月。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を鑑み、今より遥かに外出を控えていました頃、お相撲さんたちの視野が狭まってしまわぬようにと、親方と共に、部屋の中にいても心を豊かにする方向を毎日考える日々でした。

この日は自宅リビングにて、皆でスタジオジブリの映画「耳をすませば」を鑑賞しました。








自身が観たいものはNetflixなどで自身で選び、イヤホンをつけて一人で観る時代ではありますが、皆んなで観ると、あの頃相撲部屋の仲間たちとこの映画を観たな、と情景も含め思い出に残るものです。

西岩部屋では「スタンド・バイ・ミー」「今を生きる」、そして毎年夏には日本で戦争があったことを忘れないよう「風立ちぬ」「この世界の片隅に」など、定期的に皆んなで映画を観る時間をつくっています。


今回の映画は、原作が少女漫画ということもあり、なかなか男の子たちに馴染みのない作品であると思いましたが、訊いてみますと、観たことがあるという子が二人いました。うち一人は、中学3年生の時に今の自分と同じ年齢だからということで、先生が選び、道徳の時間に観せてくれたとのことでした。


中学生の自分が、"力士"という特別な職業を自ら選ぶまでに、様々な思いがあったことと思います。
今相撲界で挑戦していることこそが、自分の存在価値であることに気づいて欲しいと願い、今回は「耳をすませば」を皆んなで観ることに致しました。



最初に、親方が若い頃の話をしました。
「自分も皆んなと同じ。中学生の頃に力士になることを自分で決めた。」と、進路を決めた覚悟を話しました。
そこに映画の説明が加わります。
物語にはおじいさんが登場しますが、そのおじいさんが主人公の女の子に掛けた言葉は、親方が皆を思う気持ちそのものだということも伝えました。


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まだ皆んなは『原石』だということ。
だから素敵なんだということ。


自分自身がこれから経験を積み、その原石を磨いていくこと、親方によって磨かれていくこと。
まだこれからなんだよという話をしました。
ものを創るというのは時間が掛かります。
一朝一夕では叶いません。
強くなりたいという気持ちが大きいあまり、自分の能力を思い知り、悔しさが込み上げてくる日もあると思います。



それでも今親方が皆んなに伝えたいことは、
「はじめから完璧なんて期待していない。」
ということです。

最初から100点じゃないと恥ずかしいなんて思わずに、たくさん挑戦を繰り返し経験できることが若さであるということ。
どんな経験も成長の瞬間。うまくやろうとしなくていいんだと伝えていました。




昨年末、西岩部屋のロゴマークが完成しました。



挑戦してみたいというやる気さえ持っていれば、どこまででも伸びます。
これまで相撲経験が全くなくても、体重が軽くても、そういう子こそ、西岩部屋へ来て欲しい。
本当に才能があるかどうか、やってみないと分かりません。
一から自分の手で、人として、力士として育て上げたいと思い、親方は今の9名の子たちを選び、自身の弟子として迎えました。

これからもよろしく!