西岩部屋おかみさんブログ

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2020/08/02 令和2年7月場所千秋楽お疲れ様会


8月2日千秋楽の夕刻
大部屋ではお相撲さんたち皆が大きなテーブルを出したりお皿を用意したりと準備を進めてくれています。

暗くなりかけました頃、審判のお仕事を終え、神送りの儀を見届け、親方が帰ってまいりました。




身内だけのささやかな会が始まりました。
勝ち越しおめでとうございます。
八女の里
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若松永
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若金子
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若田中
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ささやかな会と書きましたが、親方は何日も前からメニューを考えていました。それは、力士たちが精神状態の限界を感じながらも一生懸命に部屋の決まりを守り、明るく努めてくれたことへの労いです。

今夜は出前にお世話になります。
お寿司は一人一桶です。そして親方が買ってきてくれました国技館の焼き鳥。温かいものも付けてやって欲しいとのことでこちらでは豚汁を作りました。

乾杯を前に、皆んなでいろんな話をしました。
"勝ち越すことがどのくらい難しく嬉しいことなのかよく分かりました"と話してくれた子もいます。
親方は、相撲をやっている者にしかわからない、今自分たちはすごい経験をしているんだよ、と皆んなに語りかけました。
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聞き入る力士たち一人一人の真面目な目を見て、私は疎外感さえ覚えました。
その経験を積み重ねていけるのは、本物の力士だけ。「我慢」「辛抱」した者だけだと思います。
若干15歳で入門した子たちが、親元を離れて、厳しい相撲部屋の生活を基礎として、相撲を学び、共同生活の中で決まりを守り、嫌なことでも我慢するという毎日を送るわけです。これは本当につらいと思います。
全ては相撲を続けるためです。相撲界で生き抜いていくための試練です。



人と違った人生、人より注目される人生は、とても輝いて見えます。とかく人は明るく照らされたところだけを見てしまいます。
光と影。
光が強く当たっているところでは影が濃く出ます。
例として、輝くような栄光を手にした人がいるとするならば、その人の過去にはきっと、血の滲むような努力や苦悩、そして日々の我慢の積み重ねがあったのだろうと想像に難くありません。
栄光は光、その礎となったものが影。
影なくして光を得ようとしても不可能だということ。



7月場所開催に向けてどれだけの方々が動いてくださっているのか。そのことを力士たちには毎回投げかけ、緩みかけた自粛生活を正す日々でした。お陰様で鬼のお面もすっかり板につきました。
叱られても挫けず影濃く直向きに頑張ってくれた子どもたちのこの日の笑顔は、千秋楽を迎え、場所の緊張が解けましたせいか、子どもらしく可愛らしく弾けるように光っていました。


マスクを取り、お腹いっぱいいただきました。
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場所後の休暇は、感染予防のルールが少し変わりました。今ある環境、ルールの範囲内でいかに休暇を満喫するか工夫が試されます。皆んなの工夫を親方とともに見守りたいと思います。
新弟子はまだ浅草をちゃんと歩いたことがありません。月曜日、近所のみを拡大しました地図をプリントアウトして、全員に手渡しました。
消毒液を入れた巾着袋に、この地図も仲間入りです。
浅草の美味しいものをいただいて、リフレッシュしてください。


よく頑張りました。
お疲れ様でございました。



「7月場所の星取表」、一番一番の取組を振り返る「親方コラム」はこちらからご覧ください。