西岩部屋おかみさんブログ

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タコ足

若松永 輝透(わかまつなが きずく)
大阪市平野区出身 17歳

よく気が利きます。
力士たちが外出禁止の中、普段は力士たちに買い出しをお願いしている物も、今は親方と私で気づいて買い足さなければなりません。
力士たちもそれに協力してくれています。

その日の班長が、
「醤油があと鍋一回分くらいでなくなります」
「お風呂の洗剤がなくなりました」
「手洗いのペーパータオルがあと数枚になりました」
など、気づいたことをその都度報告に来てくれます。
自宅階で在庫を管理していますので、「報告ありがとう、ではこれでお願いします」と詰め替え用を渡し、補充してもらいます。

部屋に在庫が無いものは、メモに書き、買い出しに行くのですが、あとでやろうと別のことをしている間に頭から抜け落ちてしまい、次のちゃんこで、あ、お味噌がない、そう言えば2.3日前に聞いていた!となることも、、、。見本となるべき行動が取れず、申し訳ない限りです。

そのような中、力士たちからの細かい報告はとても有難く思います。
先日、若松永が、屋上から洗濯物を干すタコ足を一本持ってきました。
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「おかみさん、申し訳ありません。自分が洗濯物を干していて、タコ足を折ってしまいました。」

「え?折ったの?」
そう言うと、若松永は口籠っています。

折るわけないです。
「干してて、触ったら自然にポキっと折れたのかな。もう3年目だからねぇ。」と言いますと、若松永は、「はい、すみません」と申し訳なさそうに頭を下げてくれました。

地方場所の際は、物干し類は全て竿から外し、洗って室内に取り込むのですが、それ以外は屋上でずっと日光を浴びています。
こうして劣化して折れてしまったものでも、「触っただけで勝手に折れたんで」と言わないところ。
報告しなくても分からないようなことでも、汗をかきながら焦ってすぐに報告に来てくれるところに、若松永の潔い正直な性格が表れています。
部屋と致しましてもとても助かります。
「ああ、屋上のことまで今は気が回らなかった。助かるなぁ。」とほっとする瞬間でした。


自宅階に皆んなが上がってくる時でも、畳を這う電気のコードを少し踏んで歩いてしまった仲間に、すぐに後ろからTシャツを少し引っ張り、小声で「踏んだらあかん」と教えてあげていました。大声で注意することはありません。見ていますと、親方に聞こえないようにいつも小声で注意しています。
その子が親方から怒られないように教えてあげているんだなと思います。


またある時は、
若松永「夜、ご飯は何合炊いたらよろしいでしょうか」
親方「そうだなぁ、、、えーっと、、、」
若松永「昼は三杯分残りました」
親方「わかった、じゃあ夜は、、、」と会話していました。
親方の言いたいことも察知できます。
冷蔵庫にどの食材がいくつあるかも最近では、聞かれてすぐに答えていますし、よく把握できています。
まだ17歳ですが、とてもしっかりしてまいりました。



判断力に優れたその性格は、相撲にも大いにプラスになることでしょう。
相撲部屋の生活をしっかりとできている子こそ、強くなる。
それが親方の口癖です。
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今回は若松永のことを書きましたが、上の5人が中心となり本当によく頑張っています。
部屋のみんなが緩みなく頑張る姿に、我慢しながら前を向くこと。そういった毎日の成長を感じます。