今この写真に映っている力士たちは、部屋の厳しい決まりごとを守って頑張っている子たち。
相撲が強くなりたくて相撲部屋に入門いたしましたのに、相撲以外のことがとにかく厳しすぎる、と毎日辛い想いをしていると思います。
我慢して、そこを越えてほしい。
相撲が強いだけの力士には育てたくないというのが、親方の想いです。
強くなるために、徹底的な朝稽古、
夕方は親方がメニューを組んだ筋力トレーニング、
夜はまた土俵に降りて自主トレーニング。
そしてそれらと同じくらい大事なことがあると親方は教えています。
力士としての「品格」を身につけること。
言葉遣いや立ち振る舞いから、メールの返信の仕方やSNSへの向き合い方まで、事細かな生活指導は、力士たちにとって、我慢の連続の日々だと思います。
遊びたい盛りだと思いますのに、立派な力士を目指すという目標のために、いろんな欲を削り、我慢し、ここまで来てくれています。
歩み出して一年半。
西岩部屋初めての一泊旅行です。
自由時間を多く取り、力士たちには、厳しい日常から離れ、子どもらしく無邪気に過ごして欲しいと、親方と行き先や時間配分を企て、準備を進めてまいりました。
労を労いましょう。
そして仲間との絆が深まりますように。
旅の始まりです。
行き先は千葉県木更津の『ホテル三日月 龍宮城』を選びました。ホテルの中に何でも揃っているため、外に出なくても自由時間が楽しめ、安全というのが一番の決め手です。
助けた亀ではなく、10人乗りのレンタカーで出発。
運転席は親方、助手を務めるのは行司の公輝です。
「海ほたる」に到着いたしました。
海鮮丼とラーメンをいただきました。
宿泊先『ホテル三日月龍宮城』に到着です。
成人していますので、親方と乾杯のお酒も堪能いたしました。
入門する際、部屋にゲーム機器を持ってきた子もいます。それでも徐々に部屋の空気を読み、「強くなるためにはゲームは必要ないです」と言って、手放しました。
ゲームにあてていた時間を今ではトレーニングや、ぐっすり眠り体を休めることにあてています。
この夜は、きっと久しぶりのゲームだったと思います。
覗く若松永。
朝食もレストランでバイキングです。
月と星が映る真っ黒な夜の景色も綺麗でしたが、今朝はまた素晴らしい景色が望めました。
空と海と水平線。
窓のすぐ外に、吸い込まれそうな青い景色が広がります。
チェックアウトし、龍宮城に別れを告げ、続きまして向かった先は、鎌倉の海、由比ヶ浜です。
荷物を纏め、一同海へ。
波に打たれる公輝
泳ぐとまたお腹が空きます。
旅の最後は、横浜中華街です。
お腹いっぱいに中華を堪能し、ここからはまた自由時間です。
集合時間になりました。
突然の夕立に髷と浴衣を庇うように、一人また一人と車に駆け込みます。
車中では、中華街で購入したタピオカミルクティーを皆んなで飲みました。
旅行が終わっていきます。
その時です。
ワイパーを止めたばかりのフロントガラスの向こう側に、大きな虹が架かりました。
金子みすずさん [1903-1929] の詩の一節にこのような文言がございます。
『みんな違ってみんないい』
それぞれが、べつべつで、でもそれに優劣は無いこと。
それぞれが、素晴らしいのだということを、どうか皆んなには知っていてほしいのです。
お盆休みが終わりました。
さあ、稽古再開です。
朝稽古で皆んな泥々です。
9月場所に向け、一生懸命頑張ります。