遅くなりましたが、ご報告申し上げます。
令和5年大相撲初場所2日目
透輝の里と若新が成人の日を迎えました。
コロナ禍でなくとも帰省することはできません。
土俵の上が晴れ舞台です。
西岩部屋では、成人の日に大人になった印として、どこへ出ても恥ずかしくないようにと、親方が実印を贈ります。
稀少な、本象牙です。
場所後、時間を作って印鑑登録に行きましょう。
開けて、手に取り、大人になった重みを確かめます。
お祝いは、二人が大好きなお寿司です。
昆布茶を添えて、
中学を卒業し、15歳で入門。
一緒に西岩部屋をつくってきて、一緒に悩んで一緒に泣いて、同じ景色を見ながら、気がつけばあっという間に、この2人が二十歳になりました。
自分にはちょうど5歳の娘がいますが、この5年、自分の娘とは比にならないくらい、透輝の里、若新の2人を育てることは本当に難しく、そして楽しかったです。
どうして分かってくれないの。先頭に立って部屋をつくっていかないといけないのに、なぜ思うようにやってくれないのか。新米おかみとして2人それぞれに何度もそう思いました。
ですが、全部それは自分の接し方、言い方がまだまだなんだ、と、育てながら気づかせてくれた瞬間でした。
出来ていない時に「兄弟子らしくちゃんとしないと駄目」と注意するのではなく、ちゃんとしっかりと親方の言いつけを守って頑張ってくれた時に、「ちゃんと出来たんだね。」と笑顔で接した時の方が、透輝の里と若新ははるかに伸びるということも分かりました。
透輝の里と若新に、自分が育てられたと思えるこの5年間でした。
ふたりに共通して言えることは、人がすごく良いこと。正直であることです。
大したことではありませんが、部屋で間違ったことをした際にも、詳しく事情を訊く過程で、少しでも良い子に見られようと隠したり嘘をついたりが一度もありません。
きちんと一つ一つの間違いを、一回の問いかけで潔く反省できる綺麗な心を持っています。だからこそ、次に同じ失敗が無いのです。
よく、相撲部屋も他のスポーツのように移籍できるようにしてもよいのではないか、との意見を目にいたします。
いろんな考え方がありますが、親方も私もこの子たちと一緒に西岩部屋をつくってきました。
相撲部屋は家族同然です。
子どもをトレードしたり、あげたりする親はどこにもいませんし、子ども自身にも、よその家の子に生まれれば良かった、と思わせたくありません。
将来この子たちがもしここを旅立つ日が来るとしても、その日までは自分たちが一生懸命立派な人間に育てていこうと親方と固く誓った日でした。
最後はこの笑顔で!
カメラを構える私の横に、若金子が居て、3人を笑わせていました。
いつもありがとう。