西岩部屋おかみさんブログ

大相撲西岩部屋の備忘録として利用しています。【公式twitter】https://twitter.com/nishiiwabeyaです。

令和4年5月場所千秋楽

ご報告が大変遅くなりました。


お陰様で夏場所も無事に千秋楽を迎えることが出来ました。
まだまだ小さな部屋ですが、変わらず応援してくださいます皆様には感謝の念に堪えません。

私事で恐縮ですが、今場所は14日目に、3年ぶりに国技館に足を運びました。
正直なところ、知らなかった、、、という事の連続で、改めて皆様の温かい応援に胸が熱くなりました。
まだお客様のお席もまばらな朝早い時間にも関わらず、西岩部屋の力士が土俵に上がりますと大きな拍手を送ってくださる方がいたり、静かに「西岩部屋」のタオルを広げてくださっている方もいらっしゃいました。そして、西岩部屋の反物で作った洋服、マスクを着用して応援してくださっている方にも出会いました。

コロナ禍でここ数年、後援会の皆様には、「今場所も千秋楽祝賀会はございません。」という内容の封書、部屋新聞、番付表、他特典をお送りするのみでした。
何か楽しんで頂ける企画を考えなければ、と親方と知恵を絞っていたところではございますが、国技館で出会った皆様からの、「皆んな頑張ってましたね。今日来てよかった。」とのお言葉で、ハッと原点に立ち返る事が出来ました。

何の面白い企画よりも、力士たちが勝っても負けても良いから、土俵上で全力を出し切って闘う姿をお見せする事、付言するならば、普段のやる気をしっかり感じとって頂く事。
まずはもう一度ここからだと思いました。
力士の本分は「相撲」です。
ご恩に報いるため、部屋皆んなで、見えない支えにも目を凝らし、必死に頑張ろうと思いました。



5月場所千秋楽、夜18時半、
親方が国技館から帰ってまいりました。
お相撲さんたちで、もう全ての準備を整えてくれています。
部屋での細やかな会の始まりです。



今日のちゃんこは、豚肉の西京みそ鍋です。

煮立った鍋を返します。
白味噌の甘く柔らかい香りが、ふわっと広がり、食欲をそそります。



お寿司は一人一桶です。


国技館名物の焼き鳥も各テーブルに。
新弟子さんたちにも国技館の焼き鳥の美味しさを知ってもらいましょう!


こちらは、さっぱりとした胡瓜と白菜の浅漬けです。パリパリポリポリといくらでもいただけて、
よく冷えていますので箸休めに最適です。
蛸は鴨川市より届きました。
今場所も各地よりたくさん美味しいものを送っていただきました。
心より御礼申し上げます。




乾杯の音頭は、透輝の里です。

それでは!
「乾杯!」



親方が、「さて、、、」と立ち上がり、紅白の蝶結びの御祝儀袋を取り出しました。
今場所の勝ち越し賞の贈呈です。

勝ち越し賞授与。
透輝の里 

おめでとうございます!




勝ち越し賞授与
八女の里

おめでとうございます!




続きまして、
一人ずつ、今場所の感想と来場所の抱負を発表します。








皆んな、今場所もよく頑張りました。
新弟子2名にとりましては、新序出世披露があり、いきなり7番相撲があり、と目まぐるい場所だったと思います。
コロナ禍で、足踏みもありましたが、今場所より一気に大きく動き出し、ここから長い相撲人生の始まりです。一度きりのこの瞬間を、大切に思い出に刻んでください。



里田中
3月入門の15歳で、西岩部屋の最年少です。
先に入門した兄、若田中という頼もしい存在がありますので、すぐにこちらの生活にも馴染み、いつも穏やかな笑顔で、皆んなと仲良くお話しをしているという印象です。
減り張りをつけることが自然に出来る子で、相撲のこととなりますと、自らの向上心で真っ直ぐ努力に集中する芯の強さを持っています。


若清
宮崎県宮崎市出身
同じく3月入門です。入門の意志は早い段階から親方に手紙で伝えてくれていました。晴れて高校を卒業して入門。4月4日、こちらに来てすぐに誕生日を迎え、現在19歳となりました。故郷宮崎県をこよなく愛し、「宮崎の良いところを教えてくれ。」という親方の質問に、「全部です。食べ物も人も、もう何でもです。」と目を丸くして答えてくれたことが、若清の純真さを表し、とても印象的でした。


若大根原
休場明けで、今場所、前相撲からの復帰でした。まだまだ本人は調整が必要だと場所前から実感しているようでしたが、『一日でも早く本場所の土俵に戻りたい。』という最大の思いが叶ったことに、喜びを噛み締めていることでしょう。よく頑張りました!!本当によく頑張っていました!!
毎晩続けてきた自主トレに関しまして、一時、何か迷いを見せるような曇った表情をしている日もありました。結果的に、自分の力でそこからまた立ち上がりました。立ち止まり、自分で自分の事をよく考え、解決する力を持っています。


若箭原
大健闘の場所でした。
全くの未経験から今年3年目に入りましたが、ひと場所ごとにしっかりと成長が見られている若箭原に親方も手応えを感じています。
その証拠に、近頃の朝稽古では、親方は若箭原に今までにない程のとことんまでの稽古をつけていて、若箭原も歯を食いしばってついてきています。性格的にストイックとはまた違うのですが、応援してくれる人のために頑張ろうという素直な優しい気持ちを持っています。仲良しの若金子の補助も率先して行ってくれています。


若金子
退院の日、病棟の自動ドア前に現れた晴れ晴れとした表情が忘れられません。自ら「前向きな気持ち」を毎日心掛けていたんだろうと思います。
退院後は毎晩稽古場に降り、自主トレに励んでいます。
「今は下半身を鍛える事が出来ないので上半身を今の期間で鍛えあげていきたいと思います。」これが若金子の最近の言葉です。
試練も含め、自分の物語として、若金子ならしっかり何でもプラスに変えていけるでしょう。焦らずゆっくり先を見て。怪我を乗り越えた人だけが持つ特別な強さを掴んでください。


若田中
入門時は、同期の中でもややおぼこさが残り可愛らしい印象があり、厳しい世界でやっていけるかな?と心配する面もあったのですが、ここ一年、急激に気持ちに強さが見られるようになりました。弟を迎える準備を、自覚を持って頑張っていたのでしょう。結果的にその時期と重なりますように番付も一気に上がりました。

ご家族が東京にお仕事などで来られました際に、部屋の玄関先までチラッとお顔だけ見にきてくださる時があります。毎回ちゃんと「ありがとう。ありがとう。」と何度も言ってお見送りしている姿を目にします。年頃でありましても素直に家族を大切に思う心にとても感心いたします。


若新
お世話になりました東大阪の道場の先生、元 新花山こと千葉先生より、一文字頂いて今場所より改名いたしました。
今場所の若新の場所前からの姿勢を見て、本場所を見て、千葉先生が生きていましたら、さあ何と仰るか、、、。

それは若新にではなく、私に。
いつもそう考えるようにしています。
「おかみさん、これからも耕司をよろしくお願いします。耕司を西岩親方に預かってもらって本当に良かったと思ってるんです。」
千葉先生なら絶対にそう仰います。
"耕司には西岩部屋が合ってるだろう"と、若新の性格、タイプを考えて千葉先生が選んでくださって、それで入門が決まりました。託してくださった思いに報いるために、私は私にできることを千葉先生の代わりに続けていきます。


透輝の里
等身大の19歳は、見ていてなかなか面白いもので。元気溌剌な日もあれば、日によって、そうでもないという顔も見せてくれます。こんな時はこちらも、"そりゃそうだよな〜、機械と接してるんじゃないんだから。力士である前に人間なんだから。コロナ禍なんだから。19歳の男の子なんだから。" と、これが当たり前だ!と笑ってしまいそうになります。本当に良い子ぶらない良い子です。
お相撲さんたちに毎日同じ事を求めず、コンディションといいますか具合をしっかり目で見て、接し方を考えよう、変えよう、と思わせてくれます。部屋が安定しているかどうかの判断基準は、透輝の里のあの大きな笑い声が今日も響いているかどうか。これに尽きます。


八女の里
今場所も、しっかりと部屋を引っ張ってくれました。
良い事をしようと目立つ事をするタイプではありません。ただ、気が付くと今場所も部屋で何も問題が起きず平和に千秋楽を迎えられた。これが八女の里の凄さです。
部屋頭であり、年長者の八女の里が親方の言う事をしっかりと聞き、誠実な態度を示すことで、弟弟子たちがそこを飛び越えてまで部屋の決まり事を堂々と破ることはありません。
無事に千秋楽を迎え、休暇に入りますと、八女の里に関しましては、"この数日間は気を張らなくていいですよ。楽にしていて欲しい。"
そんな気持ちになります。大好きな豚骨ラーメンを食べてリフレッシュしてください!


今場所もお疲れ様でした!!



次のブログは、
今夏の浴衣紹介です。
親方の描いた絵が浴衣になりました!
お楽しみに。