西岩部屋おかみさんブログ

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行司 木村公輝

昨年のクリスマスイブに西岩部屋にやって来た津川公輝君(青森県青森市出身 現在17歳)
見習い期間を経て、昨日2月1日付で正式に採用となりました。
行司名 木村公輝(きむらこうき)として三月場所より土俵に上がります。よろしくお願い申し上げます。



今は休暇中ですのでゆっくりできていますが、西岩部屋に来て早々、クリスマス会に参加。そして12月30日には17歳の誕生日を迎えました。その後も、大晦日にお正月、初場所、千秋楽打上げパーティーと、目まぐるしい毎日だったと思います。


2018年12月30日
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行司名入りのボールペンです。
たくさん練習して、綺麗な字を書いてください。
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2019年1月1日
初めて東京で迎えるお正月。
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2019年1月7日
皆んなで浅草寺へ。
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何もかもが新鮮です。
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初詣後、お昼ご飯を食べに行った浅草ビューホテルの窓から広がる都会の景色に大変驚き、

「青森の妹にこの景色を写真に撮って見せてあげたいです」と目を輝かせていました。
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こんなこともありました。初場所中、青森から親方の知人が西岩部屋を訪れ、お相撲さんたちがちゃんこのお給仕をしている際、一番端にいた公輝が、涙ぐんでいました。
あとで、「さっき、辛そうに見えましたが何かありましたか」と訊きますと、一ヶ月ぶりに青森の訛りを聞いて、とても懐かしくて涙がこみ上げてきてしまって、、、とのことでした。


それでも大好きな相撲の世界に入るのです。
帰りたいという気持ちではないと強く言ってくれました。




協会の面接が行われました。
そして、数日後の夜、親方に連絡が入りました。
公輝を三階の自宅階に呼びます。
おめでとうございます。
正式採用決定です。





お正月、お相撲さん達と『浅草むぎとろ』へ行った帰り、親方と娘と3人で雷門通りを歩いていますと、『東京大衆歌謡楽団』さんに遭遇いたしました。
前々から興味がありました親方は、「聴いていこう」と迷いなく足を止めました。

ああ上野駅』が始まりました。
親方は、歌詞をじっくり聴きながら、「今の公輝だな」と呟きます。

12月24日、青森から上野までひとりで電車に揺られてやって来ました。
親方が上野駅まで迎えに行き、そこから公輝の東京生活が始まりました。

(動画撮影、投稿可とのことでしたので一番のみ撮影させていただきました)



"どこかに故郷の 香をのせて
入る列車の なつかしさ
上野は俺らの 心の駅だ
くじけちゃならない 人生が
あの日ここから 始まった

「父ちゃん 僕がいなくなったんで
母ちゃんの畑仕事も大変だろうな。
今度の休みには必ず帰るから、
そのときは父ちゃんの肩も母ちゃんの肩も、
もういやだっていうまで叩いてやるぞ、
それまで元気で待っていてくれよな」

就職列車に ゆられて着いた
遠いあの夜を 思い出す
上野は俺らの 心の駅だ
配達帰りの 自転車を
とめて聞いてる 国なまり

ホームの時計を 見つめていたら
母の笑顔に なってきた
上野は俺らの 心の駅だ
お店の仕事は 辛いけど
胸にゃでっかい 夢がある"




本当に、行司さんのお仕事は大変です。
これから覚えることがたくさんあります。
この休暇中も、親方が大部屋を覗きますと、公輝はひとり装束を着る練習をしていたそうです。
一生懸命さが伝わってまいります。
家族想いで、誠実で、とても純粋な心を持っています。



最後になりましたが。
行司の先輩方、特に一門の中でも近い間柄であります田子ノ浦部屋の隆男さんには、見習い期間から公輝を大変にご指導いただき、可愛がっていただいております。
青森から鞄一つで出てきた公輝に、自分が使っていたものがあるからと、ダンボールいっぱいの部屋着、何十本ものネクタイを持ってきてくださいました。
何からどう覚えていってよいか分からず戸惑う公輝に、行司の仕事の勘所を、お兄さんのように優しく教えてくださっています。
「隆男兄弟子から今日は〇〇を教えていただきました」といつも笑顔で報告してくれます。
大切な軍配までお借りしているようです。
有難い限りでございます。




青森で生まれ育ち、若の里に憧れて、この西岩部屋を選んでくれました。
若い頃の親方のサインも写真も何枚も持っています。
これからは家族同然。ともに生活します。
末永くよろしくお願いいたします。