西岩部屋おかみさんブログ

大相撲西岩部屋の備忘録として利用しています。【公式twitter】https://twitter.com/nishiiwabeyaです。

2022/04/02 関西組が帰京

あっという間に週末を迎えました。
この一週間は、ただただ慌ただしく過ぎ去りました。
一つ一つの出来事を振り返りながらブログに綴ってまいります。

先ず、親方が「審判部」から「広報部」へと移り、加えて協会執行部のお仕事も頂きました。
これから平日は協会でお仕事をする時間が長くなります。
今までは朝稽古が終わりますと、午後に会議や取材、コンプライアンス委員会など特別なお仕事が無い時には、部屋のことに専心できていました。大きなスーパーへ買い出しに出掛けたり、部屋でお相撲さんたちとミーティングをしたりと、余裕を持って毎時部屋の様子を確認出来ていました。
これは当たり前ではなく、新米部屋としては大変有難い環境でありましたことに今更ながら気付き、感謝の思いです。
審判で使用していた紋付袴を仕舞い、通勤用のワイシャツを買い足し、小さな字が書かれた紙を手を伸ばして目から遠く離さなくても読めるようにと初めて眼鏡も作りました。
これから部屋のことは、兄弟子たちの力も借りて、お相撲さんたちの生活の律動が狂わぬよう、調整してまいります。

気付けば満開だった桜は花びらが暖かな風に舞い、見上げた木々には、艶やかな黄緑色の新芽が生命力を輝かせています。
西岩部屋にも、この春、二名の新弟子が来てくれました。
体格基準を満たし、部屋で生活して一週間となりますが、内臓検査の結果を待ち、改めまして皆様に詳しくご紹介いたします。楽しみにお待ちください。



4月2日
関西の実家に帰省していましたお相撲さんたちが、PCR検査陰性の報告を受けて、部屋に帰ってまいりました。
関西出身のお相撲さんが多い西岩部屋。
こちらは親方とおかみさんに、そしてこちらは部屋の皆さんに、と両手に大きな紙袋をいくつも下げて、三階自宅階の玄関に列を作ります。
皆、気分転換が大いにできたという清々しく柔らかい表情をしています。崩れて自分なりに直した髷もご愛嬌です。
コロナ禍の影響もあり、叶わない年もありましたが、皆だいたい一年に一度、帰省いたします。
その間は、部屋に残るお相撲さんたちにお願いして、ちゃんこ番と掃除当番を代わってもらいます。

「代わってくれてありがとう。お陰様でゆっくり帰省出来ました。」

部屋に帰ってくる際は、お礼の気持ちを込めて、手土産を用意すること。自分で選んで自分のお金で地元のお土産を買ってくるようにと、部屋で親方が教えています。

兄弟子順に一人ずつ、和室の上座に座る親方の元へ挨拶に参ります。
相撲部屋は社会の縮図です。
全てにおいて何回でも安心して失敗できる練習の場です。
手土産の渡し方、お菓子を差し出す向きや言葉や作法。
親方を前にすると、頭では分かっていても、間違えてしまう子もいます。その都度親方が、「立ったままではなくまずここで座って」「膝をついて」など静かに声を掛けます。
「地元の銘菓です。」「お口に合うかどうか分かりませんが。」「つまらない物ですが。」
皆、色んな言葉を自分で調べ、学び、ほとんどのお相撲さんが緊張して言葉を噛みながら親方に手土産を渡します。




いつか、一人でこういったことをしなければいけない状況が不意に訪れます。
その時に難なくなだらかに立派に務められますように。


親御様からも、今東京へ送り出しましたというご連絡とともに、それぞれ嬉しいお声をいただきました。
・ゲームなどせず、おばあちゃんのためにちゃんこを作ってくれたこと。
・塩ちゃんこを作ってくれたり、きょうだいへ入学祝いも用意してくれていたこと。
・夜ご飯を作ってくれてそれがとても美味しかったこと。
・実家でも相撲の稽古に励んでいたこと。

実家に帰ることができる期間は一年のうち僅か数日ですが、普段の厳しい生活があるからこそ、親御様に成長を感じていただけます。
自身の成長が何よりの親孝行です。
また次の帰省までにどれだけ一生懸命毎日を送れるか。

頑張りましょう!!