西岩部屋おかみさんブログ

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八女の里 新成人おめでとう

1月11日
成人の日です。
東京は今にも雪が降り出しそうな寒い一日でした。
西岩部屋からは八女の里が成人を迎えました。



毎年成人の日は初場所期間中です。
このようなコロナ禍でなくとも、帰省することはできません。
土俵の上が晴れ舞台です。

審判を終えた親方が部屋に帰ってきました。
和室に集合です。
皆には八女の里が成人を迎えたということを話し、八女の里には大人としての心得を諭します。そして封筒からお祝いを大事に取り出し、八女の里に手渡しました。

数ヶ月前、親方は、青森県弘前市の一級彫刻印章技能士の方に、この日のためにと、本象牙の実印をお願いしていました。

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法務省によりますと、認印が廃止になる流れがある中で、厳格な本人確認が必要な書類に関しては今まで通り実印が必要とのこと。
これから、人生の節目節目で必ず必要になります。成人の証として、親方から贈られました。


一方、時を同じく数ヶ月前、八女の里はといいますと、返信用葉書を書いていました。
故郷から届いた『成人の日の集い』の案内状です。
欠席に丸を付け、表書きは「行」に二重線を入れ、「御中」に書き換えて。
そういったことも、相撲界で学びました。
これでよし。
最後は親方が確認をして、八女の里はポストへ向かいました。


地元の成人式には出席できませんでしたが、今、相撲部屋の仲間に囲まれて穏やかに成人を迎えられましたことを、力士として誇りに思ってください。
子どもの頃に憧れていた通り、二十歳、今あなたは力士として生きています。



今場所、初日白星発進の八女の里。
うんと力をつけて欲しいという願いを込め、今日は奮発して鰻重をとりました。
明治40年創業の浅草の味です。
青い風呂敷は親方と八女の里の鰻重。
他の皆んなは紫の風呂敷の鰻重です。八女の里の新成人のお祝いに肖り、幸せのお裾分けをいただきました。
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入門当初から実直な性格は、全く変わっていません。

場所前には、こんなことがありました。
寒い中、夕方の掃除の時間に、誰かがポリバケツをホースを使って綺麗に洗ってくれていました。
姿は見えませんが、自宅階まで音だけは聞こえてきます。
年末年始はごみ収集業者さんがお休みでしたので、いつもより多く、ポリバケツにゴミ袋を押し込んでいました。その為、ポリバケツの底には液漏れなどの汚れが目立っていたのでしょう。
お相撲さんたちに訊きますと、八女の里が一人で洗っていたと教えてくれました。
皆んながあんまりやりたくない事でも、率先して行ってくれます。
そうすると、弟弟子たちも躊躇いなく次は自分が、、、と進んで行ってくれるようになります。
これが部屋頭である八女の里の教え方なんだろうなと思い、親方と見守っています。
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歳も一番上で、部屋頭という事もあり、代表して叱られることも多々あります。それも覚悟でしっかりと成長しようと、時折、背伸びをしているかのような健気な頑張りが垣間見えます。その度に内気だった自分の殻を少しずつ破り、大人になりました。今ではとても頼りになる存在です。
いつもありがとう。
笑顔で千秋楽を迎えましょう。