力士たち皆んなが嫌な顔ひとつせずとても頑張ってくれています。
親方も私もそろそろ疲れてまいりましたが、まだまだ弱音は吐けないなと奮い立たされます。
場所後は美味しい出前をとる!このことを励みに頑張ります。
場所中、八女の里と若松永が自宅階に上がってきました。八女の里が「おかみさん、大部屋の玄関の内側に貼ってある "忘れ物に気をつけましょう" の紙が剥がれそうになっていますので、貼り直したいのですが、、、」と言ってくれました。
すぐにテープを渡し、お願いしました。
とても嬉しかったです。
場所前に貼ってはみたものの、見ていないのではないか、と心配していたのですが、部屋で一番年上の八女の里が、こういったことに気付き、言いに来てくれましたことに、優しくて綺麗な心を持っているな、と温かい気持ちになりました。
国技館へ向かいます際の確認事項です。
【1.マスク】
外と内で区別しています。
外出の際は、白の使い捨てマスクを。
部屋の中では、応援してくださっている皆様から送っていただきました手作りの布マスクを。力士たち皆で分け合い、大切に使用させていただいております。力士のお母様が縫ってくださったものもございます。気持ちがこもっています分、新型コロナウイルスから守っていただけるような心強さがございます。誠に有難うございます。
使い捨ての白いマスクは、帰宅時に玄関にてナイロン袋に入れてゴミ箱にすぐに捨てます。
手作りの布マスクは、ジップロックを1人につき2枚使用し、ひとつには洗濯済みのものを入れ、もうひとつにはその日一日使った使用済みのものを入れます。晴れた日に各自手洗いし、屋上の物干し場にて天日干しします。
【2.消毒液の入った巾着袋】
消毒用エタノール、消毒ジェル、除菌シートなどを、頂き先、個数を書き、物置きで管理しています。
力士の親御様からもたくさん送っていただきました。有難うございます。
アルコール対応の小分けの容器を購入し、消毒用エタノール、消毒ジェルを人数分、分け入れました。
消毒用エタノールは、在庫も少なくなり、東京ではもうなかなか手に入らない状況ですので、場所前、これからのことを考え、代用品として、酒屋さんにてアルコール度数77%のお酒を購入いたしました。こちらもアルコール対応容器に詰め替えました。親方は現在こちらを使用していますが、サラッとした使い心地で匂いも全く気になりません。
力士たちは消毒用エタノールを使用しています。
場所前に、親方と二人で両国の『髙はし』さんにて人数分のお相撲さん柄の巾着袋を購入しました。全員、この巾着袋に消毒の容器を入れています。
【3.ハンドタオル】
新弟子たち4名は、3月に入門し、買い物にも出られないまま夏を迎えました。
ハンドタオルは持っていますかと訊きましたところ、4名とも持っていませんでした。力士としてハンドタオルは夏の必需品です。入門からずっといろんなことを我慢してくれていますので、親方と相談し、1人につき2枚ずつハンドタオルを用意しました。
持ち物は、ほかに、まわしや鬢付け油、お財布、いろいろとありますが、以上3つが場所入りの新型コロナウイルス感染予防としての持ち物です。
【ガイドライン】
場所前2回、場所中1回、協会のガイドラインについて、親方が自宅階の和室に皆を集め、1ページずつ読み進め、説明がありました。
ガイドラインの冊子は30ページに及びますが、皆しっかりと頭に入っています。
何より思いますことは、『指標』の有難さです。
こういった時はどうしたらよいのだろうと判断に迷うことがございません。専門家の方を交えて決めてくださった事です。その決まり事を守る。それだけで大きな安心感が得られます。
協会のガイドラインがあり、加えて部屋独自の決まりもあります。部屋独自の決まりに関しましては、近所であっても外食禁止、コンビニ禁止、コインランドリー禁止、必要に迫られていない治療院などは禁止等々、今は少々厳しいルールを課していますが、皆本当によく守ってくれています。
勿論、私たち家族も3月から今までレストランやカフェなどでの外食はしていません。痛み分けです。また部屋の皆んなで安全に近所の中華料理屋さんやファミレスに行ける日が待ち遠しいです。
【手洗い】
結局いつといつ手を洗えばよいのかと、自分も混乱してしまいましたので、力士たちの手洗い・うがいのタイミングを要約し、大部屋のホワイトボードに貼りました。
一日に何度も何度も手を洗うことになります。
【宅配物】
大阪場所後、東京に戻りましてからは、宅配物は非対面での受け取りにしていただいています。
西岩部屋の玄関です。
宅配業者様も、新型コロナウイルスの感染拡大の状況の中、さらに長い梅雨が続く中、お仕事で来てくださっています。今まででしたら、お顔を拝見してお礼を述べること、そして少しの世間話を楽しみにしていましたが、今はお互いのことを考え、こういった形態で行っています。
【買い出し】
買い出しにつきましては、大阪場所後、東京に戻りましてからは、観光地浅草という土地柄を考慮し、力士たちを外出させる訳にはいかないという親方の判断により、親方と私の2人で行っていました。
食材は、1週間に1度、親方と私と娘(6月までは幼稚園が休園中だった為)の3人で車で業務用スーパーへ。到着しましたら、1人は車の中で子守りをし、その間に1人が店内で買い出し。持てるだけの買い物袋を下げて、手洗い・消毒をしてから車に戻り、これを交互で行い、トランクがいっぱいになるまで買い物をします。
時に、親方は力士のおやつも買いに車を走らせたり、
業務用スーパーで購入しきれない、日々の細かい買い物は、私が近所のスーパーまで買いに行くという形をとっていました。
7月、
待ちに待った本場所の開催が発表されました。力士たちは数ヶ月ぶりに電車を利用しての外出となります。
場所が始まりますと、親方も毎日審判のお仕事で国技館へまいりますので、娘をみてくれる人がおらず、私も買い出しに行けなくなりました。
親方と色々と考え、この頃合いで、力士たちの近所のスーパーへのちゃんこの買い出しを再開することにいたしました。スーパーは、浅草雷門のすぐ近く。人出も多くとても心配です。
そこで、いかに店内に居る時間を短くするか、そして効率良く買い物ができるように、メモの書き方の勉強会を行いました。
馴染みのスーパーですので、皆、店内の品物の配置は把握しています。
入口から入ってすぐが、野菜売り場、真っ直ぐ進むと魚売り場、右へ曲がるとお肉売り場、ぐるっと回ってレジの近くがお豆腐売り場です。
新型コロナウイルスの感染拡大前は、力士たちは皆、携帯電話のメモ機能を使って、買い出しの品書きをしていましたようですが、今はそういう訳にいきません。
店内で、買い物カゴや商品、いろんなものを触った手で携帯電話を取り出して何度もメモ機能を見る。この行為を省くために、メモ用紙を使うことにいたしました。
自宅階に集まり、皆んなでメモの練習です。
①翌日のちゃんこのメニューを確認。
②冷蔵庫を確認して、無い食材を書き出す。
③清書する。この時に、スーパーの入口から順路に沿って商品をカゴに入れていけるよう、並び替えて書きます。
手間は掛かりますが、こうして外出前にメモを作りますことで、店内で立ち止まること、戻ることがなく、早く買い物を済ますことができます。
こちらは、ある日の八女の里のメモです。
左は冷蔵庫を見て無いものを書き出したメモ、右は清書です。
又は、この書き方でも買い出しが早くなります。
こちらは、自宅用の買い物メモです。
力士たちには、どちらの方法でもよいので、店内に居る時間をとにかく短くしましょうと伝えています。
そして、3歳の娘も。
「相撲協会員と同居家族」に該当いたしますので、3月より動物園やショッピングセンター、公園などの外遊びは行っていません。(幼稚園は6月より通っています)
とにかく外から新型コロナウイルスを持って帰って来ないよう、自宅で遊んでいます。
親方作、布団圧縮袋と風船のトランポリンです。
この生活がいつまで続くか分かりませんが、場所前、力士たちにアンケートをとりましたところ、こういった結果が出ました。
【コロナ前に自分が買って食べていたお菓子、ジュース、アイスクリームの量と、外出できなくなった今、部屋が出している間食の量と比べて】
①今の方がたくさん間食している(3名)
②今の方が間食は少ない(2名)
③ほぼ同じくらい(4名)
【外出できないストレス度】
①とても辛いと感じている(0名)
②意外とストレスを感じていない(3名)
③外出はとてもしたいが、感染するかもしれないと思うと部屋にいる方が安心できている(6名)
場所も残り2日となりました。
皆んなが神経を擦り減らすような毎日を送っていますが、そのお陰で無事に千秋楽を迎えられそうです。まだ早いですが涙が出そうになります。
たくさん稽古も積みました。あと一番を残す子たち皆が、どうか勝ち星を掴めますように。
皆様も、お体にお気をつけて、心身ともに穏やかな週末をお過ごしください。