西岩部屋おかみさんブログ

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雪駄

新番付が発表され、お陰様で若中谷が三段目に昇進し、親方より新しい四股名が贈られました。

「八女の里(やめのさと)」

改名から一日、二日と経ち、段々部屋でも浸透してきたように思います。
さらに、春場所が始まり、呼出しさん、行司さんの呼び上げが館内に響き渡り、その流れる抑揚を耳で聴きますことで、きっとより一層、改名を実感でき、八女の里自身、新鮮な嬉しさが込み上げてくるでしょう。
そう想像いたしますと、八女の里の初日を待ち遠しく存じます。



親方がおもむろに、東京から持ってまいりました紙袋から、包みを取り出します。
大部屋に居た八女の里が呼ばれ、親方の元へ参りました。

三段目昇進のお祝いと致しまして、親方から四股名に続きまして『雪駄』が贈られました。
力士は三段目からは雪駄を履くことが認められます。


本人の大きな目標から考えますと、
「通過点でしかない」。
親方も、そして福岡県八女郡在住のお父様も厳しい言葉を掛けます。
「嬉しい」。
他方、お母様と私は思わず本人にそう言葉を掛けます。

前相撲からここまで一年間、全て勝ち越しをおさめております。
初めて履く、『雪駄』で、ここからまた一歩一歩、歩みを進めていって欲しいと願います。




普段、親方と力士が一対一で、ゆっくりと座って話をすることはあまりございません。
珍しいが故に、こういった場面は、記録に残しておきたいと思います。


余談ではございますが、2歳になる我が子の写真を撮る時に気をつけていることがあります。
ついつい子どもにばかり目が行き、子どもだけを大きく一人で写してしまいます。
あとで見返した時、背景が分かりません。
その瞬間の親の表情も同じ場面にあるのですから、出来るだけ一緒に写そうと心掛けるようにいたしました。

八女の里と親方の関係も同じです。
何ヶ月も前から、筆に墨をつけ、「八女の里」という文字を親方はもう何回書いたことでしょうか。
雪駄を買いに行く際も、自分の目で見て決めたいと両国の岡田屋さんに足を運びました。触って硬さを確認し、少し高く上げ、日が当たったときのエナメルの光り具合の色を見て、「いい色だね」と笑みを浮かべました。
御主人に三段目力士が出たことを伝えながら、財布からお金を取り出す親方の初々しい様子を後ろから見ていますと、力士たちが親方を親方らしくしてくれるんだな、これからもきっとこうして親方も私も成長させてもらえるんだと思いました。



八女の里の笑顔と親方の笑顔を一枚の写真に収めておきたくて撮りました。
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真剣な話もしました。
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最後に。
「晃が頑張ってるのを見るのが一番嬉しい」
お父様とお母様はそう仰っています。


若中谷 改メ 八女の里
これからも、何事も実直に頑張る精神そのままに、皆んなに愛される力士になってください。