両国、緑一丁目交差点。
街路樹のハナミズキがとても綺麗に咲いていました。
何センチ?同じものだと間違えて履いてしまうだろうから鼻緒の色は変えておこう、と二足の下駄をそれぞれ箱に入れ、閉じた紙袋に片手を入れ、バサっと勢いよく形を作り、素早く丁寧にご用意してくださるのは、86歳のご主人です。
「また来ます」「またおいで」
新弟子さんが入ったら私はここに来れます。
また必ず来れますように。
身長と体重を伝えますと、サイズごとに小分けされた奥の棚から、「はい、これとこれで大丈夫です」と取り出してくださいます。
ライオン堂さんには若いお相撲さんたちが入れ替わり立ち替わりお買い物に訪れていました。
最後に高はしさん。
キャラコ足袋とさがりと風呂敷を購入しました。
店内で少し咳込んでしまったのですが、お会計の際、つり銭トレーに目をやりますと、そっと飴玉が置かれていました。
"また新しい子たちを預かる、頑張らなくてはいけない"という緊張が少し解きほぐれました。
両国は温かいまちです。
三軒まわり、手には紙袋がいっぱいです。
早く新弟子さんたちに渡したい。
心躍らせながら帰宅します。
小山布団さんにお願いした若者布団ニ組も届いております。
4月20日
さあ、新弟子さんたちがやって参りました。
親方が紹介する中、先輩たちへご挨拶です。
面倒見のよい若野口が早速優しく教えてくれています。
夜のちゃんこは皆んなですき焼きを囲みました。
後列左から若佐竹、若野口、若藤岡、若中谷、若松永、
この5人も西岩部屋での生活はまだ2ヶ月ですが、落ち着いた穏やかな表情に、心身ともに伸び伸びとした成長を感じます。
初々しい笑顔の新弟子さん。
左は、
小山 源太(おやま げんた)くん 15歳
右は、
小菅 広樹(こすげ こうき)くん 18歳です。
二人に共通していますのは、とにかく相撲が大好きだということです。お相撲さんのお顔も四股名もよく知っています。
そしてもう一つ。
小山くんも小菅くんも、スカウトしたのではなく、
と自分から西岩部屋の門を叩いてくれました。
これほど嬉しいことはございません。
体はまだまだ細いですが、5月の新弟子検査に向け、そのまだ細い腕で大きな炊飯ジャーを開け、ご飯を何杯もおかわりする姿はとても健気で前向きで心打たれるものがございます。
5人から7人になった西岩部屋。
より一層厳しく、親方は一人一人しっかり愛情を込めて育てていきたいと申しております。
丸刈りにして、まわしをつけました。
緊張した面持ちです。
二人とも親方の行動を常にしっかり見ていて、初日からよく気が利き機敏に動いてくれます。
礼儀も正しくとてもいい子たちで、「若いのにしっかりしている」と親方も大変驚いております。
ちゃんこ場でも、大部屋での用事でも何でも、親方や兄弟子の動きをしっかり見て、すぐに動けること。
これができる子は相撲も上手くなる。
『相撲部屋での生活すべてが相撲に精通する』と親方はいいます。
相撲が大好きで入門してくれた小山くんと小菅くん。
素敵なご縁に感謝いたします。
彼らの希望に満ちた瞳を、生かすも殺すも西岩部屋に掛かっています。
最初は慣れない環境に皆んな戸惑います。
自分の時を思い出し、皆んなで明るく支えていきましょう。
今日もお腹いっぱいちゃんこを食べて、しっかりお昼寝してください!