西岩部屋おかみさんブログ

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2020/04/27 番付発表

4月27日
新番付が発表されました。
いつもならば前の場所で成績が良かった力士が、朝6時前に協会にいただきに上がる番付表。
今回は、安全を考えてとお計らいくださり部屋まで車で配送となりました。
番付表を受け取り、配送の方が車に戻り発車直前、ミラー越しに、離れた玄関先にて頭を下げる力士たちに気づいてくださいました。
そしてその場から「頑張ってくださいね!」と力強い応援の言葉を掛けてくださいました。
今の力士たちにとりまして、大変励みになったことと思います。
こうして今場所の番付表が無事に部屋に届きました。
有難うございました。

たくさんの方々に支えられています。
会場にお客様が入った状態をまだ体験していませんが、もう何度「頑張ってください」とお声掛けいただいたことでしょう。
3月入門の新弟子4名が初めて番付に載りました。
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左から
若大根原 瑞規(わかおおねはら みずき)
東京都練馬区出身 16歳

誠実でとても心根の優しい子です。
同期が体調を崩した時には、溜まった洗濯物を自分のものと一緒にまわして干してあげたり、こちらがなにも言わなくても率先してお世話をしていました。
また、3月場所での印象は、「とても真面目に掃除をする子」。
若大根原の掃除担当箇所は、いつも綺麗でした。
同期への思いやり、掃除の仕方。自分以外の人のこともちゃんと考えている行動に、やはり新弟子の中で一つ上というだけあるなと感心させられます。
また、相撲に対し、強い好奇心と向上心を持っています。入門前、ボクシングで鍛えた筋肉質な体が、今後どう進化していくのか。自分でも楽しみながらトレーニングに励んでいるような前向きさが見られます。
まだ16歳ですが、謙虚で言葉遣いもとても丁寧です。自身で調べ、西岩部屋への入門を志願。部屋のホームページにメールを送ってくれました。その後、親方と何度も電話やメールでやり取りし、体験入門を経て西岩部屋へ正式入門となりました。覚悟を持って自分で決めた道に邁進する迷いのない芯の強さは、自主トレにもよく表れています。ある日、私が見に行った日には、一番最初に土俵へ向かい、暗い稽古場に電気をつけ、コツコツと腕立て伏せを続け、後から来た兄弟子たちと消灯間際まで汗を流しました。努力家です。
繊細で奥深い魅力がある子だと思いますので、少しずつ自分を見せていって欲しいです。楽しみにしています。



若田中 優霧(わかたなか ひろむ)
兵庫県尼崎市出身 15歳
ほんわかと気さくな空気を醸し出していますので、とても話しかけやすいです。若田中の心豊かで純粋な性格がそうさせているのだと思います。
一番驚き感動しましたのは、昨年夏の体験入門後の行動です。「5日間ありがとうございました。とても勉強になりました。皆さんにもよくしていただいて楽しかったです。今、東京駅に着いてこれから新幹線に乗ります。」、「今、無事に自宅に着きました。」ときちんと電話で伝えてくれたことです。躊躇せず電話を掛けてきてくれたことに感心しました。とても嬉しかったです。
3月場所での印象は、とにかくよく気が利くこと。それが全てさりげないこと。例えば若藤岡が掃除に使う粘着テープを一枚破れば、サッと斜め後ろにまわり、手でお皿を作ってそのゴミを受け取ろうとしたり。
若鳥海が段ボールを持ち上げた瞬間、代わって受け取ろうとして「あ、いいよ、大丈夫!」と言われ、その後どうするかな?と見ていますと、進行方向にあるドアに目をやり、小走りで開けに行ったり。
よく見ているなぁというよりも、優しいなと思います。
差し入れに親御様からたくさんのプリンをいただいたことがあるのですが、そのプリンを選んだのは若田中だと伺いました。若田中に「どうしてこのお店のプリンにしたの?」と訊きますと、「自分がここのが好きなので、皆さんにも食べていただきたいと思って。美味しいので皆んなで一緒に食べたいなと思いながら選びました。」と笑顔で教えてくれました。シンプルに真っ直ぐに自分の気持ちを表現できる人当たりの良さは天性のものです。部屋に明るい風を吹かせて欲しいと思います。

趣味は電車だそうです。どんな電車でも名前が言えます。人より秀でるものがあるのはとても素敵な事です。



若金子 響(わかかねこ ひびき)
高知県高知市出身 15歳
お母様の希望で母方の姓を四股名としています。
一言で申しますと、今までで一番西岩部屋らしくない子です。入門前、強くなりたい、有名になりたいという気持ちが先行し、地元のテレビに出演し、夢は横綱と宣言しました。
まだ15歳です。右も左もわからないと思いますので、先ずは人としてなにが大切か。謙虚に努めることを意識し、ひとつひとつ学んでは足を止め、また学んでは足を止め、ゆっくりゆっくり歩みを見守りたいと思います。
指導を受けたあとの態度や行動も大事です。例えば、掃除のやり直しの指導があった場合、その後どう動くかです。

「今回、自分は掃除を疎かにしてしまいましたので、反省し、明日からは誰よりも稽古を頑張ります。相撲を頑張ることで信頼を取り戻していきたいと思います。」
こうならないように。

たとえ相撲部屋に相撲をしに来ていても、掃除で指導を受けたなら掃除がしっかりできるようになるまで頑張る。そうあってほしいと伝えました。
相撲が大好きで、稽古もトレーニングも人一倍頑張っています。強くなりたい気持ちも体からめいいっぱい出ています。だからこそ、相撲以外のこともきちんと頑張れるかどうか。意識しないとどうしてもそこが抜け落ちてしまいます。
仲間を思いやる気持ちも大切です。
同期が具合が悪くて寝込んでいる日があれば、それでも自分は日課のトレーニングに行くことだけが凄いことかといえば、そうではないとも思って欲しいのです。
今日は心配だからちょっと仲間に付いていてあげよう。何か手伝ってあげよう。それも、お相撲さんとして正解なんだよ。そういう事も若金子には教えていきたいと思っています。

3月、宿舎の港住吉神社の絵馬に「お父さんの番付を抜く」と書きました。努力を惜しみませんのでどんどん強くなるでしょう。ただ相撲部屋は団体生活です。志高く頑張っていても、私生活の些細な事で指導を受け、指導される意味が分からず、辞める辞めないの問題にまでなってしまうといった例もたくさんあります。そうなってしまうのは才能的にとても勿体ないことです。そうならない為に、入門時の今学ぶことは、私生活においての謙虚な姿勢。ずっと相撲を続けていくためには、とにかく親方の言うことをしっかり聞くこと。それが結局出世への一番の近道だということを、いつも心に置いて欲しいと思います。
厳しい指導にもついてこれる子だと見込んでいますので、頑張って欲しいです。

若金子が生まれる前なので知らないと思いますが、ブルーハーツの曲の中にこんな歌詞があります。

"期待外れの言葉を言うときに
心の中ではガンバレ!って言っている。
聴こえて欲しい。
あなたにも
ガンバレ!"
    (「人にやさしく」THE BLUE HEARTS


強いだけではなく、愛されるお相撲さんが最強なんだという事をこれからたくさん気づいていけますように。
中学では体育祭で応援団長を務めたそうです。自己主張もとても強いです。こういった面が全て良い面として表れていきますよう、力士としての道徳をしっかりと共に学んでまいりたいと思います。



若箭原 祐太(わかやはら ゆうた)
大阪府摂津市出身 15歳
"この子はきっと友達が多いだろうな"それが、最初に話した時の印象でした。
穏やかで、ニコニコしていて、ユーモアもあり、そして親方が話をしているときにはしっかりと顔を向け、時折頷き共感しています。協調性もあり、みんなに好かれるタイプの子だろうなと思います。
こちらがメールを送りましても、感性豊かな文章を返してくれます。「普段の浅草はもっと人が多いのですよ」と何かで説明したとき、若箭原からの返事には、文の最後に「早くコロナウイルスの薬ができて、賑わっている浅草が見たいです。」とありました。
また、3月9日の若箭原の15歳の誕生日に2本の編集動画を送り、どちらか良い方をよかったら記念に保存してくださいと伝えますと、若箭原の返事はこうでした。
「動画を作ってくださってありがとうございます。両方とも保存させていただきます。」
自然に出てくる言葉が、どれもとても温かいのです。素直で礼儀正しく、人の心を癒してくれる柔らかな魅力があります。
相撲は未経験ですが、これからどんどん相撲を知り、好きになって欲しいなと思います。無限の可能性を持っている原石のような子です。稽古でどんどん新しいことを覚え、スポンジのように吸収していく様子を見ていますと、若箭原の次の本場所の土俵を早く親御様にも観ていただきいと強く思います。
若箭原には、焦らずに今のまま、自分らしく頑張ってほしいです。



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