7月10日
東京は曇り。
雨上がりの涼しい風を受け、薄いガラス玉がチリンチリンと揺れています。浅草は「ほおずき市」で観音様には多くの人が訪れていました。
その頃、愛知県豊明市の宿舎では、親方のお誕生日会が行われていたようです。
夜、力士たちと親方の笑顔の写真が送られてまいりました。
皆、元気そうで何よりです。
ケーキにプレゼント。どうやら皆んなで、東京にいる間に計画を立てて用意してくれていたようです。
親方は43歳になりました。
毎年、名古屋場所が巡ってくるたびに、引退からもう何年、と思い耽ります。
4年前の名古屋場所、
若の里は39歳で、土俵人生に幕を下ろしました。
15歳で入門し、23年半の土俵人生でした。
両膝の古傷が悪化して、最後の3年間は痛み止めの注射がなければ相撲を取れない状態でした。
4年前の誕生日は、名古屋場所初日の3日ほど前だったのですが、「今日は誕生日だからどこか行きたいところある?」と訊きましたところ、「京都の膝専門の病院へ行きたい。場所直前だし念の為また膝の水を抜いて痛み止めの注射も打ってもらいたい。」と言うのです。
東京で掛かりつけの病院で膝の水を抜いてから名古屋入りをしました。それでも稽古をすれば数日で水が溜まってしまう状態でした。
名古屋から高速道路で京都まで向かいました。水を抜き、痛み止めの注射を打っていただき、またすぐに名古屋に戻って参りました。
この頃はまだこれが最後の場所になるとは、若の里本人も思っていません。
まだまだ力士でありたい、そう思い、諦める気持ちなど微塵もなく、体を大事に大事にしていたように思います。
それでも場所中は、愛知県体育館に着いてからも手すりがなければ階段も上れません。一段一段重い足を上げるすぐ後ろには、付け人を務めてくださっていた淡路海さんや輝関が手を添えお気遣いくださる姿がありました。
親方となった今、どうしても足は完治せず走ることはもうできません。限界まで両膝を磨り減らし、大好きな相撲を全ういたしました。
その先に掴んだ幸せが、写真に写るこの子たちとの出逢いです。
今年の皆んなからの誕生日プレゼントは、サンダルだったそうです。ゆっくりまだまだ歩みを進めてください。
若野口 (埼玉県深谷市 18)
八女の里(福岡県八女郡広川町 19)
若鳥海(長野県長野市 17)
三段目が見えている力士も数名います。
自己最高の強さを発揮できますように。
先のブログでもお伝えいたしましたが、西岩部屋に規則が一つ増えました。
親方と私もブログをお休みしておりましたが、力士たちよりも一足お先に再開させていただきます。皆が関取になるまでの部屋の様子をこちらで伝えさせてください。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
7月10日