西岩部屋おかみさんブログ

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初土俵 木村公輝

大相撲三月場所も中日を迎えました。
今場所、行司の公輝が春らしい桃色の装束を着て、前相撲の土俵に上がっています。

皆様のお陰で無事に初土俵が踏めましたこと、心より御礼申し上げます。

空いた時間は、何度も何度も装束を着る練習をしました。いつも小菅さんがここを結んでくれます。と教えてくれました。
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また別の日も、一人で着付けの練習です。
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あれあれ?右が高くなってしまいました。
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なかなか上手くいかず、心配そうに見ていた兄弟子もついに駆け寄り、たしかこうだ、ああだ、(行司の先輩の)隆男さんがこう言っていた、と口々に確かめ合い、公輝の着付けを手伝います。
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大阪に来る前は、東京の浅草の西岩部屋の土俵で、力士が夜の自主トレをしている時間帯に、様子を見にそっとドアを開けますと、公輝の姿がありました。
驚き、「え?どうしたの?」と言いますと、「自分も稽古しています」と。
公輝の声はよく通り、トレーニングをしている力士たちも思わず、手を止め、足を止め、公輝に注目してしまいます。

稽古することは良いこと、しかしどうしよう、、、と親方と相談を重ね、結果、お相撲さんたちが黙々とトレーニングに集中できるように...と公輝にはお相撲さんたちがお昼寝をしている時間帯に一人で稽古をするようにと伝えました。
毎日毎日、一人で頑張りました。
なかなか上手にならないと悩んでいる日もありました。
田子ノ浦部屋の隆男さんがいつも気に掛けてくださって、部屋まで公輝の稽古の様子を見に来てくださったり、生活面での指導も毎日のように電話でしてくださいました。

公輝は公輝なりの心の成長を見せてくれました。
何度間違えても、何度注意されても、絶対に後ろに下がらない心を持っています。
「もう一回やってみます」
「頑張ります」
ゆっくり理解して真っ直ぐ芯を持って伸びています。

思い遣りがあり、心の綺麗な子です。
娘が、部屋でお客様にお出しするお箸袋を一つ掴んでしまった時のことです。
娘の目線までしゃがみ、「花ちゃん、お兄ちゃんの手にこれ置いて」と優しい口調で何回も言ってくれていました。
公輝は三人きょうだいで、青森に二人の妹がいます。とても良いお兄ちゃんなんだろうなと思いました。

私が咳き込んでいたとき、「おかみさん...」とのど飴を一つくれました。
行司の隆男さんから、「コンビニに行ってお菓子を買うくらいだったら、のど飴を買いなさい。行司なんだから。喉を大切にしなさい。」
こう教わってから、いつも持ち歩いているようです。

いろんなところを見てきて、まだ失敗してしまうことも多いのですが、親方はそれでいいと言います。
失敗して、注意されて、時には人に迷惑を掛けて、最初は皆んなそうやって覚えていくんだからと。

朝8時半過ぎ、大きな声で一生懸命裁く姿を、皆様にもご覧いただけましたら幸いです。

公輝の故郷、青森で「ガンバレ」は「ケッパレ」と言います。
きっと先生や同じクラスだった皆さんが「公輝、行司さ、ケッパレよ〜!」と毎日応援してくれていることでしょう。

千秋楽まで体調を崩さずにしっかりと頑張ってください!