西岩部屋おかみさんブログ

大相撲西岩部屋の備忘録として利用しています。【公式twitter】https://twitter.com/nishiiwabeyaです。

教習生さん、お帰りなさい

8月19日
お盆休みをとっていた相撲教習生たちが9日ぶりに西岩部屋へ帰ってまいりました。

一番近い茨城県土浦市の若小菅がまず到着しました。
ドアを開けると、、、笑顔。
ああよかったなと思いました。明るい顔で帰ってきてくれることが一番嬉しいです。
若松永、若中谷、若藤岡も次々に到着。
みんな良い表情をしています。
_var_mobile_Media_DCIM_115APPLE_IMG_5518.HEIC

当たり前のことですが、
帰ってきてくれてありがとう。

親方と兄弟子が居ない中で数週間彼らと過ごし、私の中で勝手に絆が膨らんでいましたので、まずその想いでいっぱいになりました。
またこの部屋でともに頑張りましょう。




8月20日
朝6時05分
久々に相撲教習所に向かう皆んながそろそろ1階の玄関から出てくる時間です。
自宅階のベランダに出て花に水をやりながら下を覗きます。
誰も出てまいりません。
6時10分、15分、刻々と時間は過ぎ、心配になり堪らず親方に連絡しました。
寝坊かな、見てきたら?と返事が来ました。

恐る恐る大部屋のインターホンを鳴らしてドアを開けますと、、、
誰もいません。
どうやらまだ私も気付かない6時前に出発したようです。
同時に驚いたことがあります。
玄関、お風呂場ともに草履も揃っていますし、部屋もちゃんこ場もとても綺麗です。
_var_mobile_Media_DCIM_115APPLE_IMG_5556.HEIC
_var_mobile_Media_DCIM_115APPLE_IMG_5550.HEIC
_var_mobile_Media_DCIM_115APPLE_IMG_5552.HEIC
_var_mobile_Media_DCIM_115APPLE_IMG_5554.HEIC
_var_mobile_Media_DCIM_115APPLE_IMG_5551.HEIC
『寝坊をする、部屋が汚いは、だらしなさ』
休み明けはどうしてもそうなりがちではないかと思いましたが、彼らは違っていました。
いつもより早起きし、部屋も綺麗に掃除し片付けられていました。
「素晴らしい」
親方もこう感想を述べました。
ここまでできる訳は何か。

答えは一つしかありません。
充実した休暇を送れたからでしょう。

帰省前、部屋の規則について厳しく注意しました。
それには理由があります。
今、巡業で、若野口は最年少で日々先輩方に揉まれ頑張っています。若野口にはお盆休みはありません。
それらを考えたとき、部屋に残っている教習生たちも、うんと成長しなければ。そして後ろめたさなく堂々とお盆休みを取れるようにしましょう。
その想いをみんなに伝えてまいりました。
皆んな一生懸命頑張りました。




それぞれのお盆休みがあったようです。

親方から「休みの間も身体を動かしなさい」と言われたことを忠実に守り、朝は4時半に起き、場所を借りて筋トレをし、筋肉痛を部屋に持ち帰るほど頑張った若中谷。
帰省の際、服やタオルは実家にあるからと小さなリュックで帰りました。リュックの中身はまわしです。
親方もこれには、瞠目しました。

お世話になった道場の先生に東京の手土産を持って会いに行った若藤岡。
お父様と山や川で自然に触れながら身体も鍛えたようです。
以前、コロンとした大きな身体でロープ無しで色んな険しい岩山に登るまだ小学生の頃の若藤岡の写真を見てとても驚きました。優れた身体能力はお父様との山登りからきているのかも知れません。

若松永は連日友人たちと過ごしました。高校生になりアルバイトがある中で入れ替わり立ち替わり若松永が帰って来ているならと会いに来てくれたそうです。友人や家族とともに川へ行ったり、楽しむ様子を写真で拝見しました。
お母様は、「遊んでるように見えますが...」と気にしていらっしゃいましたが、いいえ、そんなことございません。
全ては結果です。
若松永が充実感を味わえて、それがまた部屋に戻って頑張れる力になるのであればその休暇の過ごし方は最高だと思います。

若小菅は家族でお墓参りに行ったそうです。
私にもお盆休みがあればまずそうしていたと思います。本来のお盆休みの過ごし方ですね。
若小菅は力士になって初めてのお盆です。
お盆前、髪に油を塗り始めました。綺麗に櫛を通し、西岩と名の入った浴衣を纏い、立派になった姿でご先祖様に手を合わせることで、力士という道を選んだ自分の生き方に誇りが持てることでしょう。見えない大きな力が怪我のないよう若小菅を見守ってくれます。
早起きし、高校野球を観ながら自宅のバーベルでしっかりと身体も動かしたそうです。

実家の台所に立ち、ちゃんこを作った子もいます。
入門してまだ3ヶ月や半年でもう一人でちゃんこが作れるようになりました。
相撲部屋で学んだことをお父様、お母様に見てもらおうとするその姿勢に感動しました。



帰省してゆっくりしてみて、あなたたちの気持ちはどう動きましたか?

家族だけでなく、お世話になった先生方、友達、ご近所様、周りの方々からの注目に自分自身が驚き、その期待の大きさをひしひしと感じたことでしょう。
力士になるとはそういう事なんだなと気づく場面がたくさんあったはずです。

"このまま実家にいたい気持ちもあるけれど、その気持ちを越えるくらい、支えてくれる皆んなの笑顔がもっと見たい、そのためにまた東京で頑張る"

こう思えたなら、それは"向上心"の表れです。
きっとまた強くなれます。


EUCgm2jPHl.jpg
e2LJwn0RVA.jpg
0wyT2wcyvw.jpg
96piCwtIDV.jpg
pUbFPhlcLo.jpg親方がいないから、名前をおかみさん宛てにしてくれたのね。細やかな気配りが嬉しいです。
_var_mobile_Media_DCIM_115APPLE_IMG_5717.PNG


お土産もありがとう。
親方が帰ってきたら開けましょうね。





皆んなへ
離れていても故郷を大切に。
これからも、お父さんお母さんを大切に。